2022年の記事一覧

小前和男SBI理事長、河口俊(一社)静岡中小企業研究所専務理事、橘悦二ティグレグループ代表との懇談で連携促進が確認された

右より、松下磨ティグレ連合会専務理事、橘悦二ティグレグループ代表、小前和男SBIr理事長、河口俊(一社)静岡中小企業研究所専務理事、緒方浩SBI専務理事。

2022年10月13日、ティグレ東京本社を訪れ、(一社)中小企業研究所(略称SBI)と(一社)静岡中小企業研究所は連名で、ティグレグループへの申し入れを行い懇談した。申し入れ側は小前和男SBI理事長、緒方浩SBI専務理事と河口俊(一社)静岡中小企業研究所専務理事が参加。ティグレグループ側は橘悦二ティグレグループ代表、松下磨ティグレ連合会専務理事、益子和幸ティグレ連合会常務理事(ZOOMにて)が参加された。小前和男理事長及び緒方浩専務理事より2022年度・SBI定時社員総会の報告により、SBIの現在の主な取り組みと今後の方向性を報告。河口俊静岡中小企業研究所専務理事よりティグレグループが取り組まれている毎月のセミナーへの日常的な参加や静岡からのテーマ希望がティグレとの打ち合わせにより実現していることが報告された。今回の申し入れの柱の一つは<「最低賃金」と「インボイスを含めた消費税」に関するセミナーや講演会の共同開催>の提案である。橘代表より「その二つのテーマは、中小企業者や小規模事業者にとって重要なテーマであり」との問題提起がなされ、お互いの力を出し合い、共催の方向で検討していくことが確認された。その結果<中小企業と最低賃金>のイベントセミナーは11月25日に3者の共催で開催される予定である。尚<消費税の講演会>に関しては、まだ概要は決まっていないが、同じ方向で検討していくことが確認された。申し入れの二つ目の柱は<お互いの連携促進による情報交流とその活用に取り組むこと>である。松下専務理事より「<最低賃金>や<消費税、特にインボイス>などの中小企業者や小規模事業者のニーズをしっかりと把握することの必要性」が強調され、参加者全員の共通認識となり、その方法等についても今後協議していくことが確認された。確認されたことを実現のために今後も協議していくことが約され、散会した。

「インボイス制度」理解と対応はそれなりに進んでいるが、デジタル化は進んでいない

「インボイス制度に対応済み」は約4割
保存方法は「紙」がメイン

2022年10月、(株)滋賀銀行のシンクタンクである(株)しがぎん経済文化センターが<特別アンケート~「インボイス制度」にかかるデジタル化の取り組みついて>アンケート調査を実施し、その結果を公表しています。皆さん、ご存知かと思いますが「インボイス制度」は、2023年10月からスタートする「適格請求書保存方式」の通称です。報告書でも解説していますのでご参照下さい。<約8割がインボイス制度を「理解している」>という結果には少々驚いています。皆さんご自身及びお取引先の状況は如何ですか。編集部がこの特別アンケートに注目した理由は<インボイス制度の理解と対策だけでなくデジタル化についても>集計していることです。<中小企業及び小規模事業者のデジタル化>が進んでいない実態がこの特別アンケートでも表れています。今回の特別アンケートの結果は1p~2pに<1~10>の項目にコンパクトにまとめられていますので、ご参考にして下さい。編集部は最後の<11、インボイス制度全般に関して(自由記述)>に注目しています。自由記述は「本音」が出てくるものです。その自由記述を中心に解説していきます。

<特別アンケート>の報告文はここをクリックすれば全文を見ることが出来ます。

1, 制度をよく理解できておらず、税理士に任せっきりになっている

「その他の製造業」の方の記述です。「先生、まかせるわ」の方が多いのではないかと思います。「理解している」が約8割との関係はどうなのかと思います。

2, まだまだ他人事のように考えている事業者が多いと思う

「小売」の方の記述です。これもよく聞き話です。「インボイス」なんて初めて聞く言葉なので、分かりにくいのも原因のように思います。

3, 下請け先に免税事業者が多く、今般のインボイスについては困惑が広がっている

「建設」の方の記述です。「下請け」さんは、インボイスを発行するには、「インボイス業者」として、税務署に登録しなければなりません。「インボイス業者」に登録されれば、インボイスを発行した分の消費税を、税務署に納税しなければなりません。インボイスの導入は、零細な下請けの「救済」措置として導入されていた「免税」措置を受けることが出来なくなることが分かり「困惑」が広がるのは当然だと思います。

4, 当社としては粛々と課税事業者への変更をお願いしていくしかない。無理であれば取引自体も考えていく必要がある

上記3と同じ「建設」の方の記述です。かなりシビアな方のようです。「下請け」さんが、インボイスに登録しなければ「取引の見直し」も考えるというのです。そのような局面が2023年の10月以降に現実の話として想定されます。別の「建設」の方は「取引先含め制度の実務において混乱を招く可能性があり不安。他社の取り組みがつ現状が見えてこない」と不安を感じておられます。相手次第なのですから当然の「不安」だと思います。

以上のように、<インボイス導入は零細事業者含めて事実上の「消費増税」を意味しています>その意味していることがようやく分かってきたところだと思います。「困惑」と「不安」に表れています。これまでの取引関係や消費税の納税の仕方を根本から見直す時期に来ているように思います。今後の会社経営や事業計画において消費税対策は重要なポイントです。そのためにも「一から消費税を見直す」ことをお勧めします。

給与のデジタル振込、2023年4月から解禁されます ~本人の同意が条件で100万円が上限~

本人の同意が条件で100万円が上限

2022年12月号「スペシャルトピックス」(発行:独立行政法人労働政策・研修機構・調査部)に同内容の記事が公表されています。今年の10月26日に開催された労働政策審議会労働条件分科会(分科会会長:荒木尚志・東京大学大学院教授)で、賃金移動業者の口座に、給与をデジタル振り込みすることを認める労働基準法の省令改正案が了承されたようです。編集部としては、噂レベルと思っていましたので少々驚いています。基本的内容は労働者本人が同意することが条件で、賃金移動業者の口座にデジタル振り込みできる金額の残高上限は100万円のようです。その業者が破産しても、労働者の債権は保護される設計とされているようです。施行は2023年4月1日からです。

労働基準法では、賃金の支払いは「全額」「直接」「現金」が原則です。その原則はどうなるのでしょうか。詳しくは「スペシャルトピックス」の記事をご覧下さい。

次のところをクリックすれば「スペシャルトピックス」の記事全文を見ることが出来ます。

「注目のレポートシリーズ」を12月から開始します

第1回目は(株)しがぎん経済文化センター産業・市場調査部による<特別アンケート~「インボイス制度」にかかわるデジタル化の取り組みについて>です。月1回になるか複数回になるかは状況次第です。

今後の最低賃金の引上げ予測

2023年度、2024年度は年3%程度の引上げが見込まれる
最低賃金全国加重平均1000円対策が必要になってくる

2022年11月25日、特別セミナー<中小企業と最低賃金の現状と将来予測>が開催(Web開催)されました。厚生労働省は令和3年度に「最低賃金に関する報告書」をまとめ公表しています。講師の小前和智氏(東京大学大学院博士課程在籍)はその報告書に関わっておられますので、同「報告書」を読み解かれる中で最低賃金の現状と課題及び今後の予測をセミナーで明らかにされています。今回の特別セミナーは、ティグレグループ、一般社団法人中小企業研究所、一般社団法人静岡中小企業研究所の3者による共催で開催されています。最初に、主催者を代表して橘悦二ティグレグループ代表よりのご挨拶でスタートし、最後に河口俊一般社団法人静岡中小企業研究所専務理事のご挨拶で閉会致しました。司会はティグレグループの福本真二氏が担当され、3団体それぞれの参加者の皆さんにセミナーの内容を持ち帰り討議を深めて頂きたいと問題提起されていました。

今回の資料<「最低賃金に関する報告書」から読み解く最低賃金の今後の課題>は、ここをクリックして頂ければ全文を見ることが出来ます

次に小前氏のご報告と資料によりポイント解説を編集部としてまとめました。

厚生労働省「最低賃金に関する報告書」について

講師の小前氏は、「報告書」の中で力が入っているのは<第2章 最低賃金と労働者の賃金・生活>ですと報告されていました。

「報告書」の概要版:https://www.mhlw.go.jp/content/000974537.pdf
「報告書」の全体版:https://www.mhlw.go.jp/content/000973897.pdf

(編集部解説):同「報告書」は厚生労働省の2021年度委託事業「最低賃金に関する調査研究等事業」により、株式会社三菱総合研究所が作成しています。本文中のデータや図表の一部については、厚生労働省労働基準局が提供しています。「最低賃金に関する研究会」の座長は玄田有史東京大学社会科学研究所教授です。「報告書」の全体版は328Pもありますが、各章の「小括」がいいまとめになっています。

1,最低賃金近くで働く人が増えている

小前氏の資料6Pの<最賃近傍雇用者割合の推移>を見ていくと2011年は8、5%だったものが2020年には14、1%と増えていることが分かります。

2,概ね小規模の企業ほど最低賃金近くで働く人の割合が高い

この見出しは小前氏の見解と同じです。企業別統計をよく見ていくと、宿泊業・飲食・サービス業を規模別の<5~9人>では46,0%と非常に高いのが現状です。
(最低賃金近傍労働者を<最低賃金近くで働く人>と表現しています)

3,最低賃金近くで働く人の3割程度が世帯の最多所得者である

この見出しも小前氏の見解です。「既存研究では(正社員の夫をもつ)主婦パートや学生アルバイトが最低賃金近傍雇用者であるとされてきたが、統計を丁寧に観察すると事実発見も」との見解を報告されています。

以上、3点ほどの解説ですが、小前氏の当日資料は今後<中小企業・小規模事業者と最低賃金>を考えていく場合においてヒント満載の資料となっています。司会の福本真二氏が参加者に呼びかけられていた<参加者が所属する団体に持ち帰り、討議を深めて下さい>と提起をされていました。SBIでは社会保障WG(座長:小前和男)を中心に昨年より討議を重ねています。今回の特別セミナーの内容を踏まえてさらなる討議を重ね、SBIとしての見解を明らかにする予定です。準備出来次第ですのでその時期は現在のところ未定です。

あと1年ないし2年は、3%程度の引上げが見込まれる
1000円越えの水準は重要な分岐点

現時点での最低賃金の平均940円に年3%であれば1年に約30円の引上げとなり、2年で約60円、つまり1000円となる計算です。

現政府自身、「経済財政運営と改革の基本方針2022について」の中で「その1:人への投資のためにも最低賃金の引上げは重要な政策決定事項である。その2:出来る限り早期に最低賃金の全国加重平均が1000円以上となることを目指し、引上げに取り組む」と明記している。

最後に小前和男SBIロ理事長のコメントです。

「報告内容で、最賃引き上げの「影響度」が高くなっていることは中小企業にとっておおきな課題になっていることも指摘されています。

労働者にとって引き上げは効果をもたらすとしても、中小企業(零細)にとってはかなり死活問題になりつつあること、従来議論されてきた、貧困層に対する施策を最低賃金によるか社会保障政策とのすみわけについて指摘あったことは、今後重要な論点と考えます。」

コロナと歩んだ2年間

確定申告を終え、さらなる転機へ

2020年1月、新型頃コロナウイルスの感染者が国内で初めて確認されてから、2年とひと月が過ぎようとしています。当時はマスクが品薄状態となり、東京五輪も延期。緊急事態宣言が発令され恒例行事が次々と中止される中、持続化給付金やGoToキャンペーン等による経済支援策が打たれる年となりました。
変異株「デルタ株」の脅威に晒された2021年に海外製のワクチンが完成し、国内では医療従事者を筆頭に、大規模接種会場の設置や職域接種を実施。細やかな対策規定の基準が問題となる緊急事態宣言と並行して開催された東京五輪は、競技のほとんどが無観客に近い状態で行われました。その後も感染者は刻刻とい増え続け、安心安全認証店舗への協力金給付や、月次支援金等の政策が行われたことは、記憶に新しいことと思います。

安心・安全をつくる難しさ

世界各国で感染拡大が叫ばれる中にあって、年末に向け感染者数が減少していった日本。医療・介護・保育といった人命を預かる人々や飲食・集客事業に携わる人々が、そこの至るまでの安心・安全に過ごせる空間作りに、どれほどの労力を必要としたかは想像に難くありません。
しかし、長引いた緊張感がほぐれたのも束の間のこと。2022年には新たな変異株「オミクロン株」が驚異的な感染力を発揮しました。感染拡大を防ぐため、感染者だけでなく濃厚接触者の隔離も厳密に行われ、保健所は日々その対応に追われています。しかし、あまりにも多くの濃厚接触者が出たことによる深刻な人手不足と経済の停滞を解消するべく、当初10日間に設定されていた待期期間を7日間に短縮して、現在も感染対策と経済の両立を目指しています。

変化を続けるコロナとわたしたち

しかし、感染力の高い「オミクロン株」の威力は着々と私達の生活に忍び寄り、感染の二文字が飛び交う現状にあります。また、2020年当初は飲食関連事業やイベント関連事業に目立っていた経営悪化も、年を追うごとに延期予定だった仕事の中止や海外製品の供給不足が増えていき、業種を問わず雲行きが怪しくなっていることを、中小企業者や事業者の皆さんも体感されていると思います。健康面でも経営面でも、ここが正念場であり、そして転機でもあります。
感染対策はもちろん、万全な対策の隙間を縫って入り込み変化を続けるコロナには、健康的な生活や自己免疫の強化による体質の変化も、対策として無駄にならないと思います。健康的な身体を持って経営改善にとりくんでいくことが、コロナ禍での重要な第一歩です。

確定申告から次のステップへ

去年を振り返り対策を検討するにも、今年の税負担を考慮するためにも、確定申告は重要な作業となります。
また、現在「事業復活支援金」の支給が決定・申請が始まっており、例年と同じく「対象月と過去の同月を比較し、30%以上または50%以上減少した場合」に申請することができます。その支援金申請のためにも確定申告が必要になります。
どちらにしても、申告を終わらせなければ次に進めません。今年の申告期限に延長はなく、例年通りの3月15日までです。期限内申告をおススメします。

<この記事は静岡中小企業研究所の協力で編集されています。但し、最終文責は当中小企業研究所にあります。>

緊急のご案内です。「2022年度・中小企業及び小規模企業白書」の説明会が開催されます。講師は中小企業庁担当者です。

日時:8月3日(水)15:00~16:00

参加費:無料です。

共催:ティグレグループ、(社)中小企業研究所、(社)静岡中小企業研究所との共催

日本の中小企業者や小規模事業者が置かれて現状は非常に厳しいものがあります。政府が発行する「白書」は法律に基づき作成され、閣議決定されています。現在の政府が皆さんをどう見ておられるのかを知る機会でもあり、今後の政府の中小企業。小規模企業の政策を知っておくことは非常に重要です。講師は中小企業庁が担当します。是非とも”生の声”をお聞きください。

参加方法:Google Meetで開催します。次のアドレスからお入り下さい。

https://meet.google.com/vau-adze-tus

※Google Meetのアプリケーションのインストールは必要ありません。上記のURLから直接お入り下さい。

SBI小前和男理事長、橘悦二ティグレグループ代表と懇談

橘悦二ティグレグループ代表(左)とSBI小前和男理事長(右) (提供:ティグレフォーラム)

2022年2月15日、SBI小前和男理事長はティグレ東京本社を訪れ、橘悦二ティグレグループ代表と意見交換をしました。冒頭、小前和男理事長よりティグレの東京進出の時に、現在のティグレ労働保険事務組合の創設に小前和男理事長が相談役として参加させて頂いた話がなされ、和やかな雰囲気で始まりました。小前和男理事長より1月27日に開催されたSBI臨時社員総会を中心に昨年度の事業報告及び今年の事業方針の報告がなされ、橘悦二代表よりSBIの各WG及び各研究会の取り組みへの質問があり、関西中小企業研究所の現状が報告されました。テーマでは<中小企業の最低賃金>が話題となりました。今後も<中小企業白書セミナー>の共催などの連携を深めていくことが確認されました。ティグレフォーラムのHPではこの懇談会を次のように報じています。「ティグレと共に中小企業にとって有効な政策提言や、中小企業に寄り添った実践的、創造的活動を展開し、中小企業のあり方を提案する組織にしていこうと意思統一しました」。同懇談会にはSBI専務理事緒方浩も同行しました。

令和3年確定申告を終えて、さらに進むデジタル化の準備を

第6波のコロナウィルスの蔓延とウクライナでの戦火が広がる中で、令和3年の確定申告が無事終わりました。

今年も申告期限延長

申告期限については、昨年同様「確定申告書類の右上に、新型コロナウィルスによる申告・納付期限延長申請と記載すれば4月15日までの申告延長が可能」となりました。さらに申告最終日前日、電子申請が接続障害で申請できないという事態が起き、この場合も国税庁から急遽延期申請に関す発表がありました。
①接続障害による延期申請の旨を記載した上で、令和4年4月15日までに書面または電子申請すれば、期限後申告にならないこと
②65万円の青色申告特別控除を受ける場合、電子申請接続障害による延期申請の旨を記載した上で、4月15日までに電子申請で提出すること、すでに書面で提出している場合も同様の方法で再提出することで65万控除が受けられるとされました。注意が必要です。

協力金等による所得増

令和2年の確定申告同様に協力金等の支給による利益の大幅増加が飲食店に多くみられました。小規模飲食店では、売上等総収入の約半分が協力金で占められているというケースもあり、国の支援金がいかに事業者を助けたかということがよくわかりました。しかし、協力金等の支援金は全て課税対象で、支援金によって税金が従来より増えたという業者も多く、この点は行政に働きかけ、改善を促すべきだと思います。

デジタル化進む税務署

国税庁は、現在、「税務行政のデジタル・トランスフォーメーションー税務行政の将来像2・0」構想を発表しています。その中身は、現在の決算書の書面提出は依然45%であるとして、この現状を変える―「自宅からの電子申請をスタンダードに」することです。税務署の調査も現場に行くのではなくWEB会議をおこなう大企業にはリモート調査を実施する、また金融機関へは預貯金照会が自由にできるとなっています(以上はすでに実施)。令和3年7月からは、内部事務を専門化するセンターが作られ、電子申請の場合は所轄税務署に、書面申請の場合はセンターに郵送で効率化を図る計画です。
このデジタル化の進展は、様々な形で税務署のあり方を変え、私たちの税との関係も変えています。デジタル化によりAIが全てを判定し、その結果相続税調査は半減しましたが、1件当たりの追徴税額は5割アップという恐ろしい状況が生まれています。
現在、このような流れのなかに税務署があるため、3月14日に電子申請の接続障害というのは、お粗末な話であると言えます。
私たちは、今日、むやみやたらと進めるデジタル化に対して、効率化のみを追求する納税者不在の施策として、監視の目を強めていかなければなりません。

<この記事は静岡中小企業研究所の協力で編集されています。但し、最終文責は当中小企業研究所にあります。>

4月より変更 押さえておきたい年金制度改正

令和3年度から令和4年度へと替わる4月、年度が替われば様々な制度も変更となります。
今年4月で大きく変更となるのが年金制度です。具体的には以下の4点がポイントとして挙げられています。

  • 厚生年金保険・健康保険の適用範囲拡大
  • 在職中の年金受給のあり方の見直し
  • 受給開始時期の選択肢拡大
  • 在職老齢年金の見直し

今回はこの4つのポイントを解説していきます。

適用範囲拡大

一つ目のポイントは社会保険の適用範囲が拡大される、という点です。
従来パートやアルバイトのような短時間労働者が社会保険に加入する条件は以下の通りでした。

  • 所定労働時間が週20時間以上
  • 勤務期間が一年以上またはその見込みがある
  • 月額賃金が8.8万円以上
  • 学生ではない
  • 従業員501人以上の企業に勤務している

しかし今回の改正で、この内勤務期間一年以上という条件が撤廃、原則同様勤務期間が二か月超であれば対象となるほか、令和4年10月より従業員501人以上という条件も100人以上に拡大され、令和6年10月からは50人以上と段階的に拡大されます。パートアルバイト従業員の多い事業所は注意が必要です。

在職中の年金受給

2つ目のポイントは在職中の年金受給についてです。
現行制度では在職中に給料額が上がって年金の受給金額が変更となったとしても、退職時になってようやく年金額の見直しが入るという形でした。これでは勤労意欲をそがれてしまうということで、改正制度では毎年決まった時期に年金額の改定をするように変更となります。
これにより在職中に年金額が増える可能性があります。

受給開始時期の選択肢拡大

社会保険の受給開始年齢は原則65歳となっており、本人が希望すれば60歳から70歳の間で変更することができますが、今回の改正で75歳まで繰り下げることが可能となりました。
75歳までの繰り下げを行った場合毎月受け取る年金額は当初の1.84倍となります。一方で受給開始時期を繰り上げた場合、従来の増減率は0.5%でしたが4月以降に60歳に到達する方については0.4%に改正されることになりました。

在職老齢年金制度の見直し

従前に挙げた在職中の年金受給には年齢別の支給停止上限額が設けられています。
従来は65歳未満の方が総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が28万円を上回ると年金額の全部、または一部が支給停止に。65歳以上の方は総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が47万円を上回ると年金額の全部、または一部が支給停止となっていました。
今回の改正では、この年齢による支給停止上限額の差を撤廃し、65歳未満の方も含め一律で総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が47万を上回らなければ年金の支給停止を行わないようにしました。
これにより年金額がカットされてしまうため給料金額を低く設定していた方も、改正に伴い給料金額を見直してみてもよいかもしれません。

<この記事は静岡中小企業研究所の協力で編集されています。但し、最終文責は当中小企業研究所にあります。>