2022年04月の記事一覧

令和3年確定申告を終えて、さらに進むデジタル化の準備を

第6波のコロナウィルスの蔓延とウクライナでの戦火が広がる中で、令和3年の確定申告が無事終わりました。

今年も申告期限延長

申告期限については、昨年同様「確定申告書類の右上に、新型コロナウィルスによる申告・納付期限延長申請と記載すれば4月15日までの申告延長が可能」となりました。さらに申告最終日前日、電子申請が接続障害で申請できないという事態が起き、この場合も国税庁から急遽延期申請に関す発表がありました。
①接続障害による延期申請の旨を記載した上で、令和4年4月15日までに書面または電子申請すれば、期限後申告にならないこと
②65万円の青色申告特別控除を受ける場合、電子申請接続障害による延期申請の旨を記載した上で、4月15日までに電子申請で提出すること、すでに書面で提出している場合も同様の方法で再提出することで65万控除が受けられるとされました。注意が必要です。

協力金等による所得増

令和2年の確定申告同様に協力金等の支給による利益の大幅増加が飲食店に多くみられました。小規模飲食店では、売上等総収入の約半分が協力金で占められているというケースもあり、国の支援金がいかに事業者を助けたかということがよくわかりました。しかし、協力金等の支援金は全て課税対象で、支援金によって税金が従来より増えたという業者も多く、この点は行政に働きかけ、改善を促すべきだと思います。

デジタル化進む税務署

国税庁は、現在、「税務行政のデジタル・トランスフォーメーションー税務行政の将来像2・0」構想を発表しています。その中身は、現在の決算書の書面提出は依然45%であるとして、この現状を変える―「自宅からの電子申請をスタンダードに」することです。税務署の調査も現場に行くのではなくWEB会議をおこなう大企業にはリモート調査を実施する、また金融機関へは預貯金照会が自由にできるとなっています(以上はすでに実施)。令和3年7月からは、内部事務を専門化するセンターが作られ、電子申請の場合は所轄税務署に、書面申請の場合はセンターに郵送で効率化を図る計画です。
このデジタル化の進展は、様々な形で税務署のあり方を変え、私たちの税との関係も変えています。デジタル化によりAIが全てを判定し、その結果相続税調査は半減しましたが、1件当たりの追徴税額は5割アップという恐ろしい状況が生まれています。
現在、このような流れのなかに税務署があるため、3月14日に電子申請の接続障害というのは、お粗末な話であると言えます。
私たちは、今日、むやみやたらと進めるデジタル化に対して、効率化のみを追求する納税者不在の施策として、監視の目を強めていかなければなりません。

<この記事は静岡中小企業研究所の協力で編集されています。但し、最終文責は当中小企業研究所にあります。>

4月より変更 押さえておきたい年金制度改正

令和3年度から令和4年度へと替わる4月、年度が替われば様々な制度も変更となります。
今年4月で大きく変更となるのが年金制度です。具体的には以下の4点がポイントとして挙げられています。

  • 厚生年金保険・健康保険の適用範囲拡大
  • 在職中の年金受給のあり方の見直し
  • 受給開始時期の選択肢拡大
  • 在職老齢年金の見直し

今回はこの4つのポイントを解説していきます。

適用範囲拡大

一つ目のポイントは社会保険の適用範囲が拡大される、という点です。
従来パートやアルバイトのような短時間労働者が社会保険に加入する条件は以下の通りでした。

  • 所定労働時間が週20時間以上
  • 勤務期間が一年以上またはその見込みがある
  • 月額賃金が8.8万円以上
  • 学生ではない
  • 従業員501人以上の企業に勤務している

しかし今回の改正で、この内勤務期間一年以上という条件が撤廃、原則同様勤務期間が二か月超であれば対象となるほか、令和4年10月より従業員501人以上という条件も100人以上に拡大され、令和6年10月からは50人以上と段階的に拡大されます。パートアルバイト従業員の多い事業所は注意が必要です。

在職中の年金受給

2つ目のポイントは在職中の年金受給についてです。
現行制度では在職中に給料額が上がって年金の受給金額が変更となったとしても、退職時になってようやく年金額の見直しが入るという形でした。これでは勤労意欲をそがれてしまうということで、改正制度では毎年決まった時期に年金額の改定をするように変更となります。
これにより在職中に年金額が増える可能性があります。

受給開始時期の選択肢拡大

社会保険の受給開始年齢は原則65歳となっており、本人が希望すれば60歳から70歳の間で変更することができますが、今回の改正で75歳まで繰り下げることが可能となりました。
75歳までの繰り下げを行った場合毎月受け取る年金額は当初の1.84倍となります。一方で受給開始時期を繰り上げた場合、従来の増減率は0.5%でしたが4月以降に60歳に到達する方については0.4%に改正されることになりました。

在職老齢年金制度の見直し

従前に挙げた在職中の年金受給には年齢別の支給停止上限額が設けられています。
従来は65歳未満の方が総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が28万円を上回ると年金額の全部、または一部が支給停止に。65歳以上の方は総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が47万円を上回ると年金額の全部、または一部が支給停止となっていました。
今回の改正では、この年齢による支給停止上限額の差を撤廃し、65歳未満の方も含め一律で総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が47万を上回らなければ年金の支給停止を行わないようにしました。
これにより年金額がカットされてしまうため給料金額を低く設定していた方も、改正に伴い給料金額を見直してみてもよいかもしれません。

<この記事は静岡中小企業研究所の協力で編集されています。但し、最終文責は当中小企業研究所にあります。>