東京商工リサーチ 2021年倒産情報分析
東京商工リサーチの2021年「全国企業倒産状況」によれば、2021年(1月12月)の全国企業倒産(負債総額1000万円以上)は、件数が6030件(前年比22.4%減)、負債総額は1兆1507億300前(同5.6%減)となっています。件数は、1990年(6468件)以来の6000件代で、2年連続で前年を下回っています。その原因として、コロナ禍の各種支援策が奏功していると見ています。東京商工リサーチの「倒産情報分析」で気を付けなければならないのは、個人事業などの負債総額999万円以下の倒産はカウントされていないことです。
飲食業などのサービス業が続く
産業別倒産件数を見てみると建設業が件数トップの46件で昨年比の増加件数でもトップとなっています。次いでサービス業他が44件と続いています。その中身を細分化すると飲食業が17件で最も多く全体の件数を押し上げた結果となっています。3番目に多いのが製造業で35件です。同じく細分化すると飲食料品製造業が10件と最多となっています。飲食業は他の業種と比べ休業給付金など支援金が手厚かったが、市街地に間借りして営業を行う業者にとっては固定経費の負担が重くのしかかり、緊急事態宣言が解除された後も人通りが戻らず苦戦する事業者が多かった結果ともいえます。また支援金のスピードも遅く、申請してから入金まで数カ月という長いスパンがかかったのも原因と言えるだろう。
小ロ倒産の集中はかわらず
全体の傾向として資本金は100万以上5000万以下、従業員は5人未満という比較的小規模企業による小口倒産への集中は変わらず、業歴別にみると30年以上が最多となり、10年以上で全体の8割を占めるなど業歴の長い企業への集中にも変化は見られないと静岡中小企業研究所は見ています。
令和5年から6年にかけてが勝負の年
東京商工リサーチは倒産減少を各種の支援金の効果と見ていますが、数字だけ見れば各種支援金には一定の効果がでていると言えますが、その実貰うことのできた給付金は持続化給付金の金額が一番大きく法人であれば200万円、その後に続いた一時支援金た月次支援金は少額であったことを考えると、ほとんどの企業が給付金でなくコロナ型の融資を金融機関から受けたことが倒産を減らした原因と思われます。コロナ型融資の多くが3年間の据え置きだったことを踏まえると、令和5年から6年にかけてが勝負の年と言えるかもしれません。
<この記事は静岡中小企業研究所の協力で編集されています。但し、最終文責は当中小企業研究所にあります。>